年賀状で句読点を打たない理由は?代わりに使える表現や注意点

年賀状の文章には、原則として句読点(。、)をつけません。相手との縁の区切り・終わりを連想させたり、相手への敬意の欠如と捉えられたりするためです。年賀状を快く受け取ってもらえるよう、句読点は使わないように気をつけましょう。
ただし、句読点を使わないと文章が読みにくくなることもあります。当記事では、句読点を使わずに読みやすい文面を作成するコツや、具体的な文例を紹介しますので、年賀状を書く際の参考にしてください。

年賀状の句読点に関するマナー

年賀状には句読点を使わないのがマナーです。目上の人やビジネス関係の人へ送る年賀状は特に注意しましょう。句読点を避ける理由と誤って書いたときの対処法を解説します。

●年賀状で句読点の使用を避ける理由は?

年賀状で句読点の使用を避ける理由は、主に二つ挙げられます。

一つ目は「相手との関係に区切りをつける」という意味になるためです。文章の区切り・終わりを表す句読点は、文章につけるとよい縁を切る・終わらせるとの意味が含まれることがあります。お祝い事に「区切りをつけない」という意味で、年賀状には句読点を使わないのがマナーです。

二つ目は相手に敬意を表すためです。句読点は文章を読みやすくするための符号ですが、使わないことで「あなたは句読点がなくても文章を読める、教養がある人」という敬意表現になります。

これは明治時代に初めて句読点のルールが制定されたのをきっかけに、「句読点をつける=相手は句読点がないと理解できないと思っている」という、見下しの解釈が生まれたのが起源とされます。そのため、年賀状で句読点を使うのは失礼とされる場合があるのです。

なお年賀状と同じ理由で、冠婚葬祭の文章や感謝状、賞状、証書などの礼儀を重んじる文書でも、原則として句読点は使われていません。

●もし年賀状に句読点を打ってしまったときはどうする?

もし年賀状の文章に句読点を打ってしまったときは、その年賀はがきは修正して再利用はせず、新しい年賀はがきに書き直します。修正液や修正テープで消すのは避けましょう。年賀状に修正した跡が残るのはマナー違反になるためです。

書き損じた年賀はがきを再利用しないのはもったいないと思われるかもしれませんが、郵便局で新しいはがきと交換できるので無駄にはなりません。交換には所定の手数料が必要ですが、新しく購入するよりも割安です。ただし、年賀はがきと交換できるのは年賀はがきの販売期間中のみなので注意してください。

句読点を使わずに読みやすい年賀状を書く方法

句読点を使わずに読みやすい年賀状を書くには工夫が必要です。「スペースで区切ること」「改行を使うこと」「一文を短くすること」の3点を意識してください。

●スペースで区切

年賀状は句読点を使わない代わりに、空白やスペースを使って文章を区切る書き方があります。手書きではなくパソコンやスマホで文章を打つときは、全角スペースだとやや途切れ感が強いので、半角スペースの使用がおすすめです。

文例)

  • 誤った例
  • 昨年はお世話になりました。今年も引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 正しい例
  • 昨年はお世話になりました 今年も引き続き どうぞよろしくお願いいたします

適切な位置に空白やスペースを入れて区切り、視覚的に読みやすくなるように配慮しましょう。

●改行を使う

文が続くときは、改行することで区切りがわかりやすくなります。一文が長くなる場合も改行を使ってスッキリさせましょう。

文例)

  • 誤った例
  • あけましておめでとうございます 本年も昨年と変わらぬおつきあいを よろしくお願いいたします
  • 正しい例
  • あけましておめでとうございます
  • 本年も昨年と変わらぬおつきあいを
  • よろしくお願いいたします

●一文を短くする

年賀状に書くメッセージや挨拶文は、一文を短くして簡潔にすると読みやすくなります。一文を短くするコツは次のとおりです。

  • ・一文一義(一つの文章に一つの情報のみを書くこと)を意識する
  • ・一文が長いときは二文に区切る
  • ・過剰な修飾語を使わない

長い文章は読み手にストレスを感じさせます。負担なく読める文章を書くのもマナーの一つといえます。

年賀状を書く際に句読点以外で注意したい点

年賀状を書く際には、句読点以外にも注意すべきことがあります。年賀状で避けるべき重複表現・忌み言葉の使用・誤字脱字・文字の色やフォントについて解説します。

●重複表現

年賀状で何気なく使う言葉や挨拶でも、実は表現として正しくないケースがあります。特に賀詞(がし)の使い方には注意しましょう。

たとえば「新年あけましておめでとうございます」の「新年」と「あけまして」には、どちらも年が明けるという意味が含まれています。重複表現になるため、日本語として不適切です。

ほかにも、年賀状で重複しやすかったり間違いやすかったりする表現として、以下のようなものがあります。

  • ・「元旦」と「1月1日・元日」の重複
  • ・「迎春・謹賀新年」と「あけましておめでとうございます」の重複
  • ・目上の人に対して「寿・福・迎春・賀正」など敬意を省略した1文字・2文字の賀詞使用
  • ・「Happy New Year」の文頭にAをつけて「A Happy New Year」とする誤用

●忌み言葉の使用

忌み言葉とは、一般的に縁起が悪いとされる言葉の総称です。不幸や別離などを連想させるため、新年のお祝いや挨拶の意味合いを持つ年賀状に使用してはなりません。

忌み言葉の例としては、「去る・亡くなる・別れる・絶える・失う・落ちる・倒れる」などが挙げられます。「忙しい・忘れる」(亡)や「去年」(去)など、漢字の一部や単語の中に忌み言葉が含まれるケースにも注意が必要です。

●誤字や脱字

誤字や脱字のある年賀状を送るのはマナー違反です。特に送り先の住所や相手の名前、挨拶文などに間違いがあると「自分に興味がない」「見直しをしないほど適当に書いた」と捉えられる可能性もあり、大変失礼にあたります。

年賀状を送る前には、誤りがないか必ず見直しましょう。間違いに気づいたときは、新しい年賀はがきを使って書き直してください。

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●文字の色やフォント

年賀状に書く文字の色に、赤色や灰色を使うのは避けましょう。赤色は絶縁や死を、灰色は弔事を連想させることから、縁起が悪いとされているためです。特に目上の人やビジネス関係の人に送るときは、原則として黒色を使います。

文字のフォントは楷書体(かいしょたい)や明朝体、ゴシック体、毛筆フォントなど、読みやすいものを選びましょう。崩しすぎたものやポップ調が強すぎるなどの個性的なフォントは、読みづらいと思われるおそれがあります。よほど親しい相手に送るときだけにとどめるのが無難です。

年賀状を書くときは句読点や重複表現・忌み言葉などにご注意を

年賀状に句読点を使うのはマナー違反になります。代わりにスペース・改行の使用や短文化するなど、読みやすくする工夫が必要です。また句読点以外にも、重複表現や忌み言葉、個性的なフォントの使用は避けましょう。

誤字脱字がないかどうかはもちろん、「相手を不快にさせないか」「読みやすい年賀状になっているか」といった視点でもチェックし、相手が気持ちよく受け取れる年賀状に仕上げてください。